賃貸物件を探していても、なかなかイメージに合った物件が見つからず悩んでいる人も多いのでは?動画等で居室の状態を確認できるVR内見なら、効率的に物件探しができて忙しい人にも便利。そこで、VR内見でどんなことができるのか、VR内見のメリット・デメリット、VR内見を利用する際の注意点について、VRサービスを提供するAdvalayの丸屋さんに聞きました。
VRとは、「Virtual Reality(バーチャル・リアリティ)」の略で、「仮想現実」とも呼ばれています。目の前に広がる3次元の空間を使って現実のような体験を提供する技術のことを言います。不動産をはじめ、エンターテイメントや教育、医療、観光など、さまざまな分野で活用されています。
バーチャルツアーは、VR技術を用いて、オンライン上でさまざまな場所を体験できるサービスのこと。不動産業界では特に「VR内見」として、現地に行かずに物件をオンラインで見られるサービスが普及しはじめています。
バーチャルツアーには、さまざまな作成ソフトがあり、単純に空間をバーチャル化したものだけでなく、データ内にテキストや画像・動画・PDF・資料などを追加できるカスタマイズ編集が行われているものも。
「VRゴーグルを使うタイプもありますが、不動産業界では、360度カメラや機材で撮影した物件の画像や動画を、PC、スマートフォンやタブレットでURLをタップするだけで見られるバーチャルツアーの方が多く採用されています」(丸屋さん、以下同)
VR内見のサービス内容は、不動産会社がどのソフトを利用しているかによって異なります。3Dタイプは画面上をスムーズに歩き回ったり、真上からの視点や俯瞰視点で空間の構造を把握することができます。2Dタイプはパノラマ画像同士がつながって見えることで、あたかも部屋の中を移動しているように感じられます。
VR内見をする際に必要な機材は、専門的な機器がなくてもスマートフォンやタブレットがあればOKな場合がほとんど。VRゴーグルを使うと、よりリアリティを感じることができますがVRゴーグルで動画を視聴する場合は、スマートフォンやPCなどの外部デバイスやVRデバイス専用のプラットフォームにつなぐ必要があります。
物件を内見するにあたって、移動時間も含めて多くの時間がかかります。VR内見をすることで物件の絞り込みの精度が上がり、内見する物件数が減らせるため、効率的に物件選びができます。
間取図や一部の内観写真だけでは部屋全体の状況を把握しづらいことも多いですが、VR内見で部屋を360度見渡せることで、実際に内見した時のイメージとのギャップが少なくなります。
「VR内見はいつでもURLにアクセスすれば見られるので、特に忙しい人にとってとても便利なサービスです。VR内見をすることで現地で内見する際に確認したいポイントをあらかじめ絞っておけるので、内見にかかる時間も短縮できます。
入居検討者にとってはもちろん、不動産会社にとっても営業効率が上がるので、双方にとってメリットが大きいですね」
また、VRサービスによってはバーチャル上で家具の配置をすることもできるため、より空間をイメージしやすくなります。空間の寸法が測れるメジャー機能があるVRの場合、内見時にメジャーで測りそびれても寸法が確認できます。入居前に家具や家電が収まるかどうかの確認もスムーズになります。メモ機能がある場合は、設備の使い方や入居までの手続きなどを記入しておくことができます。
「VR内見には、実際の内見では見ることができない真上からのアングルで部屋を見ることができるものもあるので、家具のレイアウトを考えるときにも便利です」
退去時に入居時の部屋の状況を確認することができるのもメリットの一つ。入居時に部屋の隅々まで画像や動画で残しておけない場合もあるため、VRで確認しながら原状回復にあたっての費用負担を決める際に役立てることもできます。
<VR内見のメリット>
VR内見ができるようにするためには、不動産会社が物件を撮影する手間とコストが発生します。賃貸物件の場合すぐに入居が決まってしまったり、単身向けなど家賃の低い物件では費用対効果が合わなかったりという理由から、VR内見に対応していない物件もあります。検討物件のVR内見ができない場合には、現地に足を運んで確認する必要があります。
また、VR動画が撮影時から年月が経っている場合もあります。実際の部屋の状況と異なることもあるため注意が必要です。
「新築物件など入居者を募集する部屋数が多い場合や、大規模物件で複数同じ間取りがある場合などは、一部の部屋だけ撮影してサンプルとして見せることもあります。また、設備や建材の質感、物件の共用部などVR内見だけではわからない情報もあります(詳しくは「VR内見後に物件選びで注意するポイント」にて後述)。気になる物件があれば、必ず現地での内見をするようにしましょう」
<VR内見のデメリット>
VR内見を利用した物件選びは、忙しくてなかなか物件を見に行けないという方に向いています。仕事や家事の合間に時間や場所を選ばず自分のペースでVR内見をすることができます。
転勤など遠方にすぐに引越さなければならない場合にも、VR内見は有効です。あらかじめVR内見で物件を絞り込んでおくことができるため、現地での内見を効率化することができます。
「転勤などは短期間で転居先を決めて引越しをしなければならないことが多いです。遠方の場合、物件探しのために何度も現地に足を運べないこともあるので、VR内見を活用することで物件選びが捗ります」
物件選びをする際は、VR内見だけでなく必ず実際の部屋を内見して、実際の部屋の広さを確認しておくことが重要です。例えば、VRで部屋の広さや天井の高さなどのイメージを掴むことができますが、実際の感覚と違うことも。壁紙や床など素材の質感、生活動線を意識した居室のつながりなども要チェック。
また、先述したように、VR内見は撮影後に年月が経過している場合もあるので、内見時に現状の状態を確認しておくと安心です。
「VR内見では窓からの眺望を見ることもできますが、部屋の日当たりまではわかりません。部屋の音の響き方や外からの騒音、部屋のにおいなども現地でしか確認ができないので、しっかり確認を」
<内見時に確認すること>
VR内見では主に部屋の中の状況を把握できますが、エントランスやエレベーター、ゴミ置き場などの共用部分までは見ることができない場合もあります。現地を見学する際には、共用部分の管理状況やエレベーターの位置、セキュリティ面なども確認しておくようにしましょう。
「物件の管理状況が一目見てわかるのが、ゴミ置き場や駐輪場。ゴミ置き場がきれいかどうか、駐輪場の自転車の並びが整っているかは必ずチェックを」
<内見時に確認すること>
物件選びをする際には、周辺環境や駅からのアプローチなども実際に歩いて確認しましょう。外から住戸がどのように見えるのか、物件周辺は夜間の人通りがあるかといったセキュリティ面や、周辺にスーパーやコンビニ、ドラッグストア、クリーニング店などがあるかといった生活面から、自分のライフスタイルに合った暮らしやすいエリアかどうか検討を。
「物件の目の前に公園があると見晴らしや日当たりが良い反面、公園側からも部屋の様子が見えるのでセキュリティの観点では気になるところ。特に女性や小さいお子さんがいる場合には、周辺環境は重要になるので、安心して暮らせるエリアかどうか事前に確認しておきましょう」
<内見時に確認すること>
このように、VR内見を活用すれば、間取図や一部の写真だけではわからない居室の状態を知ることができるため、検討する物件候補を絞りやすく、物件選びが効率的に。VR内見ができる不動産サイトを利用して、自分にぴったりの部屋を探してみましょう。
「VR内見」は、VR技術(Virtual Reality/バーチャル・リアリティ)を使って、現地に行かずに物件をオンラインで見ることができるサービスのこと
VR内見は、内見する物件数が絞り込めて効率的に物件選びができる
バーチャル上で家具の配置をする機能があるとより空間をイメージしやすいメリットも
VR内見に対応していない場合や、撮影時から年月が経っていて実際の部屋の状況と異なることも。VR内見だけではわからない情報もあるため、物件を選ぶ際は必ず実際の部屋を見学しよう