物件情報では平米数を記載されていることも多く、「9畳」といってもどのくらいの広さかピンとこない人も多いかもしれません。また、同じ9畳でも住んでいる地域によって畳の縦横の寸法が異なるので、広さが違うことがあります。この記事では9畳は何平米でどのくらいの広さなのか、ワンルームや1K、長方形や正方形など形別のレイアウト例、使いやすいレイアウトのコツなどをインテリアコーディネーターの磯崎さんに聞いてみました。
不動産公正取引協議会連合会によると1畳の広さは1.62平方メートルとされており、9畳は一般的に1.62m2×9=14.58m2です。賃貸物件の部屋の広さは畳でなく専有面積(〇m2)で記載されていることが多いので、14.58m2前後なら9畳程度と考えることが出来ます。m2から畳数を計算する場合は、「専有面積÷1.62m2」で計算してみましょう。
物件情報に「〇畳」と記載されている場合には注意が必要です。
畳には本間(京間)、中京間、江戸間、団地間などの種類があり、それぞれ面積・サイズが異なります。使われる地域が違うため、物件情報に「〇畳」と記載されていた場合は、住んでいる地域で使われている畳の種類を不動産業者に確認するといいでしょう。
一般的に京間は関西を中心に中国・四国・九州などの西日本、中京間は愛知・岐阜・三重の東海エリアをはじめ東北や近畿などの一部、江戸間はおもに東日本エリアを中心に全国的に広く流通している規格です。団地間は公団住宅用につくられた新しい規格で、エリアは関係なく採用されています。
畳の単位は「帖」と表記される場合がありますが、「畳」と広さの違いはありません。
名称 | 9畳の平米数(面積) |
---|---|
京間(西日本エリア) | 16.38m2 |
中京間(東海エリア) | 14.85m2 |
江戸間(東日本エリア) | 13.86m2 |
団地間(エリアに関係なく多くの団地で採用) | 12.96m2 |
同じ9畳でも、ワンルームの部屋と1Kの部屋では何が違うのでしょうか。
ワンルームと1Kの大きな違いは、キッチンが独立しているかどうかです。ワンルームはキッチンが部屋の中にありますが、1Kは部屋とキッチンの間に仕切り(扉)があり、キッチンや水回り(トイレや風呂)が独立しています。自炊をよくする人や生活と調理の場を分けたいという人、居室としての1部屋を広く使いたい人は1Kがおすすめです。
また、9畳の広さを考えるとき、ワンルームと1Kでは考え方が異なるので注意しましょう。ワンルームでは居室内にキッチンを含んだスペースを9畳と表示する(水回りは除く)のに対して、1Kはキッチンや水回りのスペースを除いた居室部分を9畳とします(下記の図版参照)。
「ワンルームは仕切りがないので空間に広がりを感じやすく、おしゃれな部屋を作りやすいことがメリットです。外国の部屋のようなおしゃれな部屋を作りたい人にはおすすめです。デメリットはキッチンが部屋の中にあるので料理のにおいやキッチンの汚れなどが気になること、生活感が出てしまうことが挙げられます」(磯崎さん)
一方、「1Kはキッチンと居室が仕切られているので、部屋の中ににおいや汚れが目に入らず生活感を排除することができるのがいい点です。ただし、キッチンが玄関に直結していることが多く寒さを感じやすいことや、換気が行き届かないのがデメリットといえます」
まず、6畳での一人暮らしに必要な家具は、以下が基本となります。
ワンルームの場合は、上の居住スペースに冷蔵庫が加わり床スペースはかなり狭くなるので、通常より一回り小さいサイズの家具や兼用家具を選ぶようにしましょう。
次に、6畳と9畳を比較するとどのような違いや注意点があるのか紹介します。
一人暮らしの6畳を想定したとき、レイアウトのコンセプトは『必要最小限』です。9畳は6畳に比べると、1.62m2×3畳分=4.86m2広くなります。
6畳の場合は上記(一人暮らしに必要な家具は?のパートを参照)の家具を置くと部屋に空間が少なくなりますが、9畳になるとプラスして次の家具などを置いて就寝、仕事、生活空間などのゾーニングをしてもゆとりがあります。ワンルームであっても間仕切り家具(オープンシェルフなど)を置き、就寝ゾーンと生活ゾーンを分けることができます。
また、ベッドはセミダブル、ダブルベッドが置けるようになります。
「9畳はスペースにかなりゆとりが生まれるため、余白を楽しむインテリアを目指すとおしゃれな空間になります。広さ的にもゾーニングするのに十分なので、オープンシェルフなどの間仕切り家具を置いて空間を分けると住み心地がよくなります」
平米数は7畳、8畳、9畳で1.62m2ずつ異なります(下表参照)。
考え方として、6畳と7畳、8畳と9畳でグループ分けをすると分かりやすいです。6畳の家具サイズをアップグレードして置けるのが7畳で、6畳と7畳に置ける家具にソファ、ダイニングセット、独立したデスクをプラスして置けるのが8畳です。7畳にも置けないことはありませんが、空間に余裕がなくなるため避けたほうが居心地のいい空間が作れます。9畳はこれに加えて、飾り棚や床に置くミラーなどのインテリア小物を加えることが可能です。
また、8畳以上はソファとベッド、またはデスクとダイニングテーブルを兼用しなくて済み、コンパクトサイズではない家具選びの選択肢が広がるので、機能的で快適な空間づくりが可能になります。空間がゾーニングできるのも8畳以上からです。
平米数(面積) | |||
---|---|---|---|
9畳 | 6畳 | 7畳 | 8畳 |
14.58m2 | 9.72m2 | 11.34m2 | 12.96m2 |
同じ9畳でも、部屋の形が長方形か正方形かで部屋の使い方やレイアウトは違ってくるのでしょうか。それぞれのメリット、デメリットも教えてもらいました。
賃貸物件では、ワンルーム、1Kともに長方形の部屋が多いです。
「長方形の部屋は壁面が多いので、家具をレイアウトしやすいのがメリットです。一方で壁面に家具を並べるレイアウトになりがちで、単調になりやすいデメリットがあります」
部屋のレイアウトを考えるのが苦手な人や、家具の配置はシンプルが好きという人には長方形の部屋がおすすめです。
正方形の部屋はホテルのスイートルームなどによくありますが、壁面の長さが長方形の部屋のように長くないので、大きな家具が置きにくい形です。
「窓に対する余白が大きいため空間に抑揚がつけやすく、通路の確保がしやすいので、見た目にもゆとりを感じるスペースの作り方ができます。家具の配置が難しいデメリットはありますが、レイアウトを楽しみたい方、インテリア好きで個性的な空間を作りたいという人にはおすすめの形です」
「9畳のインテリアのコンセプトは『余白を楽しむ』です。人がひとり通るのに必要な60㎝の幅を生活動線として確保し、空間が空いているからといって物を置くことはやめます。その上で、大きなスペースを占めるベッドから配置をするとレイアウトが決まりやすいです」
「インテリアの基本は『家具は置きすぎない』こと。初めての一人暮らしだからと言って、張り切って家具を買い込むとおしゃれな部屋は作れません。広いのでつい買いたくなりますが、生活して必要だと思ったら購入するようにしましょう」
9畳の部屋はかなりゆとりがあるので、セミダブルベッドやダブルベッドも置けます。それらを実際に部屋に置くとどのくらい違うのか、下の図で比較してみてください。
「9畳なら部屋の空間を区切るゾーニングをしてみましょう。例えばリラックススペースとワークスペース、生活スペースと趣味スペースなどシーンごとに分けてみると空間にまとまりが生まれ、視覚的にも整った印象を与えることが出来ます」
ゾーニングの方法としては、背板のないオープンシェルフやソファなど家具を使う方法のほかに、ラグを敷いて家具をゆるくグループ分けする方法などがあります。
部屋はアクセントカラーをうまく使うことで、気軽に部屋の雰囲気を変えることができます。
「全体の基本となるベースカラー(床、壁、大きな家具などの色)を部屋の6~7割として、カーテン、ラグなどでベースカラーを補うアソートカラーを2~3割入れ、アートやクッションなどインテリア小物で部屋に個性を添えるアクセントカラーを0.5~2割足します。飽きたらアクセントカラーを変更すれば、気軽に部屋のイメージチェンジをすることが可能です」
「アソートカラーはベースカラーに+αくらいの色味がちょうどいいでしょう。例えば明るめのメープルの床に暖色のアソートカラーをもってくると柔らかい北欧風の部屋になります」
「高さが低い家具を選ぶと、壁や空間に余白が生まれ、圧迫感がないすっきりした印象になります。また、目線が低くなるため、見た目的にも体感的にも天井が高く部屋が広く感じられる効果があります」
もし「もっと収納が欲しい」などで高さがある家具を置くなら、壁に沿わせて置く、壁の色に近い色や背板がないオープンシェルフを選ぶと圧迫感がなくなります。
「家具は四角い形を選びがちですが、ラウンドテーブルや多角形の本棚などを選ぶと空間にリズムが生まれ、おしゃれな部屋になります」家具の形にバリエーションがあるとインテリアが楽しくなります。
壁に沿わせて置く場合も、背板がなく壁が見えるので空間が広く見える効果があります。このように、「〇〇にも使えるし、〇〇にも使える」といった流動性のある家具が一人暮らしには便利です。
「背板のない本棚は壁に垂直に置けば間仕切りになり、両サイドからものの出し入れが出来るので便利です」
住み心地のいい9畳のレイアウトを女性に人気のある間取り、部屋の形別で紹介します。
9畳のワンルーム・長方形の部屋の女性向けレイアウト例です。
「このレイアウトは、大きなテーブルにゆったりした一人掛けのイージーチェア(※)を2つ置き、作業スペースにゆとりを持たせました。キッチン前にはカウンター収納を設置して、ワンルームでもキッチンが独立するよう視界をゆるく仕切っています」また、ラグをテーブルやベンチの下に敷いて空間にまとまりを作り、ベッド横にウォールラックを置くことで就寝スペースと活動スペースのゾーニングをしています。
※イージーチェア:楽な姿勢を保てるように傾斜の付いた背もたれがついた休息を目的として作られた椅子のこと
9畳のワンルーム・正方形の部屋の女性向けレイアウト例です。
「2.5シーターのソファと大きめのテーブルを設置し、友達を呼んで自宅パーティができるレイアウトです。部屋のコーナーの死角にベッドを置いて就寝スペースとしているほか、向かって左にベッドとチェスト、右にソファとテーブル、テレビなど左右に振り分けたゾーニングで、仕切り家具を置かなくても視覚的効果で空間をゆるく区切っています」
また、バルコニーの前に家具などを置いていないので、陽がよく入る明るい部屋になるはずです。
住み心地のいい8畳のレイアウトを男性に人気のある間取り、部屋の形別で紹介します。
9畳の1K・長方形の部屋の男性向けレイアウト例です。
家で仕事をする人向けに、リモートワークスペースと生活スペースを区切ったレイアウトです。
「あえてベッドの足元にデスクを配置し、間仕切りを利用してオン、オフの切り替えができるように。生活スペースにはひとまわり大きなテーブルとゆったり座れる椅子を2脚置き、仕事が終わったらくつろげる空間を作りました」
窓際にはインテリアグリーンを置いて癒し空間を作っています。
9畳の1K・正方形の部屋の男子性向けレイアウト例です。
ゲ―ム好きな男の子のためのレイアウトです。
「バルコニーに面した趣味コーナー(テレビにゲームを映して趣味に没頭することが可能)で、健康的なゲーム部屋をイメージしてレイアウトしました。ソファの横にはインテリアグリーンなど小物を置いておしゃれな空間も演出しています。また、キッチンから入ってすぐの場所はあえて空きスペースにして、9畳ならではのゆとり空間を作っています」
バルコニー前には詰めて家具などを置いていないため陽がたくさん入り、明るい部屋が期待できます。
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9畳は14.58m2。「洋室9畳」の表記の場合、ワンルームで居室にキッチンがある場合は9畳の中に含まれる。1Kは居室スペース外にキッチンや水回りが配置されていることが多い
9畳はゾーニングが出来るので、オープンシェルフなどの間仕切り家具を置いて空間を分けると快適。ベッドはセミダブル、ダブルベッドが置けるほか、飾り棚や床置きのミラーなどのインテリア小物が追加できる
レイアウトは生活動線を確保し、大きなスペースを占めるベッドから配置。高さが低い家具を選ぶと壁や空間に余白が生まれ、圧迫感がないすっきりした印象になる。アクセントカラーをうまく使っておしゃれな部屋に