狭い部屋でも快適に! 選び方や心地よく暮らす工夫・レイアウト例を紹介

公開日 2025年05月30日

狭い部屋でも快適に!選び方や心地よく暮らす工夫・レイアウト例を紹介

住みたい場所や予算の都合などにより、狭い部屋を検討している人もいるのではないでしょうか。限られたスペースでも、工夫次第で快適な空間をつくることは可能です。この記事では、狭い部屋で暮らすメリット・デメリットや、心地よく暮らすためにできる工夫などを、インテリアコーディネーターのMAKOさんに伺い解説します。具体的なレイアウト例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

『狭い部屋』ってどれくらいの広さ?

「狭い部屋」と一口にいっても、人によって感じ方はさまざまです。とはいえ、ある程度の目安を持っておくと、部屋選びや引越し後の暮らしをイメージしやすくなります。

国土交通省が示す「住生活基本計画における居住面積水準」では、一人暮らしに必要な最低限の面積を25m2(約15.4畳)と定義しています。これは水まわりの広さなども含むので、居室は6畳〜10畳程度になる計算です。そのため下限の6畳以下では、多くの人が「狭い」と感じやすくなると考えられます。

狭い部屋のメリット

家賃や光熱費を抑えられる

家賃は部屋の面積と比例する傾向があるため、同じエリア・駅徒歩、同程度の築年数の物件で比べた場合、6畳を下回るような狭い部屋は家賃が低く設定されているケースが多くなります。また、空間が狭い分、暖房や冷房が効きやすく、光熱費にもムダが出にくいのもメリットです。

掃除や整理が楽

部屋が広いと、床の掃除だけでもひと仕事です。しかし狭い部屋なら動線が短く、効率的に作業できるので、掃除も整理も最小限の手間で済みます。スペースが限られ物を増やしにくいため、自然と片づけが習慣化されるのもポイントです。

コンパクトな暮らしができる

ワンルームや1Kなど空間が一つにまとまっている部屋では、移動もコンパクトに済み、生活効率が高まります。とくに在宅時間が短い人や、シンプルな暮らしを好む人にとっては、狭さがむしろ心地よさにつながることもあるでしょう。

狭い部屋のデメリット

収納スペースが不足しがち

狭い部屋では、備え付けの収納が少ない、またはまったくないケースも珍しくありません。収納を別途用意するとなると、その分の居住スペースが圧迫されてしまう点には注意が必要です。

「お部屋が狭かったら、収納があるかどうかの確認は必須です。部屋が狭いうえ収納がないとなると、そのままでは快適に暮らすのが難しくなってしまいます」(MAKOさん/以下同)

家具の選択や配置が制約される

部屋が狭いと、大きな家具を置くことが難しくなるほか、レイアウトにも制限が出てきます。好みのアイテムを見つけても、サイズがあわずに断念したり、動線をふさいでしまったりする可能性もあります。

「例えば『ダイニングテーブルで食事をしたい』という希望があっても、スペースの都合で置けないこともあるでしょう。その結果、自分が理想とするライフスタイルが実現しにくくなるかもしれません」

心理的に圧迫感がある

部屋が狭いと、物理的なスペースの小ささだけでなく、心理的にも「圧迫感」を覚えることがあります。壁との距離が近いため視界が制限され、なんとなく落ち着かないと感じる人も少なくありません。

「とくに窓が少ないと視線の『抜け』が少なくなってしまい、さらに圧迫感が強くなる傾向があります」

部屋の開放感を左右するのは、面積だけではなく視線の抜け感や採光といった要素も関係しています。内見時には、窓の位置や数にも注目してみるとよいでしょう。

2面に窓がある部屋
窓が多く視線が抜ける角部屋は広く感じやすい(画像/PIXTA)

快適に暮らせる狭い部屋の選び方

居室スペースを広く取りたいならワンルームより1K

同じ6畳であっても、1Kとワンルームでは「実際に使える空間の広さ」が異なります。1Kにおける6畳は、6畳の居室+キッチンであるのに対し、ワンルームはキッチンスペースも含めての6畳であるためです。

ワンルームと1Kの違い
ワンルームと1Kだと家具を置けるスペースに違いが出る(イラスト/杉崎アチャ)

ワンルームの6畳は、部屋の形状やキッチンの設置場所にもよりますが、実際に居室として使えるスペースは4.5畳程度になる可能性があります。より広い居室スペースを確保したいなら、1Kが向いています。

「自炊をよくする人は、キッチンが独立している1Kだとにおいが部屋に流れ込みにくくなります。ただ、ドアを閉めているとキッチン側の冷暖房が効きにくくなるため、夏や冬は快適に使えないことも。とくに冬は、キッチンの足元用のヒーターなどが必要になるかもしれません。1Kかワンルームかは、料理頻度にあわせて選ぶのがいいと思います」

収納の広さをチェックする

物件選びで見落とされがちなのが「収納の容量」です。間取図に「収納あり」と記載されていても、実際にどれだけの荷物が入るかは、クローゼットの奥行きや高さ、内部の棚の有無などによって異なります。収納できる量が少なく、収納棚を追加することになると、狭い部屋がさらに狭くなってしまいかねません。備わっているスペースが、自分にとって十分なものか、よく確認しておきましょう。

ロフト付きは「どう使うか」を考える

狭い部屋を探していると、ロフト付き物件に出会うことがあります。ロフトは床面積に含まないため、例えば6畳の部屋に3畳分のロフトスペースがあると、実際に使えるスペースは9畳に増えるのがメリットです。

ただし、ロフトには注意点もあります。

「ロフトには季節物や使用頻度の少ない物を置いている人が多いですが、実際には『上げ下ろしが面倒で使わなくなった』という声もよく聞きます。とくにはしごを使うタイプは、動作的に使いにくいと感じる人が多いです」

ロフトのある部屋は家賃も割高になる傾向があるため、暮らしのなかで「本当に使い続けられるか」を冷静に考えて選ぶことが大切です。

壁紙の色にも注目する

内装に使われている色は、空間の印象を大きく左右する要素の一つです。とくにワンルームや1Kなど、コンパクトな部屋では「壁紙の色」によって感じる広さが変わることもあります。

「膨張色といわれる白やベージュのような明るい色がベースだと、空間が広く見えます。ただ、家具まで同じ色でそろえるとのっぺりした印象になるので、色や素材でアクセントを付けることも大切です」

白を基調にした部屋
膨張色でまとめる場合は、アクセントを付けることで印象がぼやけない(イラスト/杉崎アチャ)

狭い部屋でも心地よく暮らすためにできる工夫

家具は高さを抑えスッキリ見えるアイテムを選ぶ

「高さのある家具を置くと圧迫感が強くなるため、狭い部屋ではできるだけ避けるのが無難です。例えばロフトベッドは省スペースになりますが、視線を遮る要素が多いため、壁に寄せたとしても圧迫感が出やすくなります。

また、広く見えるアイテム選びも大切です。例えば、脚が細くまっすぐ伸びたデスクや天板が薄いアイテムは、視覚的に抜け感を確保しやすくなります。椅子は、背がデスクより高くならない物を選ぶと、全体の高さがそろって部屋がスッキリ見えるのでおすすめです」

重厚なデスクと軽やかなデスク
同じスペースを占める家具でも、脚のデザインや天板の厚さで部屋の印象まで変わる(イラスト/杉崎アチャ)

レイアウトは視線の抜けを意識する

狭い部屋では、家具をどう置くかでも空間の印象が大きく変わります。

「家具を配置するときには、『遠近法』を意識するとよいでしょう。これは、入口から見たときに、手前に背の高い家具、奥にいくにしたがって低い家具を配置する方法で、視覚的に広く見えるようになります。家具は壁沿いにまとめ、空間に余白をつくるのも効果的です」

遠近法を使った部屋
狭い部屋では、背が高い家具を奥に置かないことが大切(イラスト/杉崎アチャ)

ベッドは省スペース設計の物を選ぶ

ベッドはどうしてもスペースを取るため、選び方を間違えると、狭い部屋がますます窮屈になってしまいます。

「ヘッドボードがないタイプや、体格や寝相に問題がなければ少し小さめのサイズのベッドを選ぶと、空間にゆとりが生まれます」

一般的なシングルベッドは幅100cm×長さ195cmですが、セミシングルベッドなら長さは変わらないものの、幅は80〜90cmになります。

なお、折りたたみベッドやソファベッドは『たためば広くなる』と思いがちですが、毎日たたむのは実のところ大変で、結局そのまま使ってしまうケースが多いようです。来客の頻度などもふまえて検討しましょう。

収納は使いやすい配置も考えて選ぶ

収納家具を増やしすぎると空間を圧迫してしまうため、本当に必要かを見極めてから購入することも重要です。

「収納家具選びでは、『どれだけ入るか』だけでなく、『どう出し入れできるか』もあわせて考えましょう。例えば収納付きベッドなら、引き出し式か上開き式かで動作がまったく異なります。引き出すスペースや開閉動作が無理なくできるか、配置も含めて検討することが大切です」

インテリアは壁と天井を活用する

床面積が限られる狭い部屋でインテリアを楽しむには、壁や天井のスペースの活用がポイントです。

「例えばウォールアートを飾ったりモビールをつるしたりすると、床をふさぐことなくおしゃれな空間を演出するのに役立ちます。さらに間接照明で壁面を照らすなど工夫すると、より雰囲気のある印象に仕上がります」

なお、賃貸では画びょうやピンの穴程度であれば、原状回復義務はないとされています。ただし、くぎやネジの穴は通常使用による範囲を超えているとされ、原状回復を求められる傾向があるため避けましょう。

ミニマルなライフスタイルも取り入れてみる

持ち物を最小限に抑えるミニマルな暮らし方を取り入れると、狭い部屋で快適に暮らしやすくなります。

「まずは、買う前に本当に必要かを考えたり、ストックを最小限にしたりして、『増やさない』ことを心掛けましょう。加えて『引く』という意識も大切です。例えば、最近はお気に入りの服だけに絞って着回す人が、若い世代を中心に増えている印象です。狭い部屋で暮らすことを、物を持つ基準を見直すきっかけにしてもらえたらと思います」

ベッドはどう置く? 部屋が狭いときのレイアウト

4.5畳のレイアウト例

4.5畳の部屋では、置ける家具にかなり制限があります。まずはベッドをどこに置くかを基準に、残りのスペースを組み立てるのが基本です。

「ベッドを壁沿いに寄せて、足元か隣にコンパクトなテーブルを置くと、部屋に入ったときに視線が窓の奥まで抜けて部屋がすっきり見えます。圧迫感を減らしたい場合は、テレビスタンドなど、より奥行きの浅い家具を選ぶのもおすすめです」

壁沿いにベッドを配置した4.5畳の部屋
視線が抜ける場所には、背の高い家具を置かないことが重要(イラスト/杉崎アチャ)

ベッドを奥に配置すると、部屋の手前と奥とで役割を分けやすくなります。ちょっとした書斎やワークスペースをつくりたいときに適しています。

部屋の奥にベッドを配置した4.5畳の部屋
キャスターが付いた椅子は、下にラグを敷くとフローリングの傷を防ぎやすくなるのもメリット(イラスト/杉崎アチャ)

「人が部屋に入ったときの目線は、120cm程度の高さにあります。窓の前にベッドがありますが、高さがないため目線が窓へと抜けるので、それほど圧迫感はないと思います」

6畳のレイアウト例

賃貸の6畳で比較的多いのは、玄関から部屋へ続くドアを開けると、正面にバルコニーがある縦長のタイプです。クローゼットが別に備わっていると、6畳すべてを居室スペースとして使えます。

ベッドを壁に沿って配置する場合は、ラグを使うと左右にゾーニングしやすくなります。

壁沿いにベッドを配置した6畳の部屋
ラグは空間をゆるやかに区切るのにも役立つ(イラスト/杉崎アチャ)

一方、ベッドを奥に配置すると、手前をリビングとして活用できます。ただし、「空間を最大限広く使いたい」と考えベッドを窓にぴったり付けると、バルコニーに出るときにはベッドをまたぐことになり不便です。手前のスペースがやや狭くなりますが、窓から少し離して配置すると、窓を開閉しやすくなり、また万一の際も避難しやすくなります。

部屋の奥にベッドを配置した6畳の部屋
クローゼットが別の6畳なら、空間のアレンジを楽しみやすくなる(イラスト/杉崎アチャ)

狭くても快適に! 『引く』発想で心地よい空間づくりをしていこう

最後にあらためてMAKOさんに、これから狭い部屋での暮らしを考えている人に向けてのアドバイスをいただきました。

「部屋が狭いと『収納を増やさなくては』と考えがちですが、まずは自分がどんな暮らしをしたいのか、何を部屋に置くべきかを整理することが大切です。どれだけの量を収納したいのかを見極めるだけでも、選ぶ家具やレイアウトが変わってきます。部屋を整えつつ、これからの暮らしに不要な物を『引く』ことで、狭くても心地よい空間をつくってみてください」

まとめ

6畳以下になると、部屋が狭いと感じる人が増えてくる

壁紙の色や家具の選び方、配置の仕方などの工夫次第で部屋を広く見せることができる

これから狭い部屋で生活していくのにあわせ、ライフスタイルを見直すのもおすすめ

SUUMOコンテンツスタッフ
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