【2025年版】断熱リフォームでもらえる補助金・助成金。対象工事や申請期限、注意点を解説!

住宅を断熱リフォームする場合、国や自治体の補助金制度を利用できます。それらの事業の補助額はいくらか、窓を替えるだけでももらえるのか、公募期間や申請はどうすればいいのかなど、断熱リフォーム支援事業の要点をまとめました。ぜひ、断熱リフォームを検討する際の参考にしてください。

【2025年版】リフォームで使える補助金と減税制度。対象のリフォームや補助金額、申請方法・期限は?子育てグリーン住宅支援事業も開始!

断熱リフォームでもらえる補助金・助成金! 対象工事や申請期限、注意点を解説!

記事の目次

2025年に断熱リフォームで使える国の補助金・助成金制度の一覧

現在、国による断熱リフォーム支援事業は、下記の4つの制度があります。

【2025年版】断熱リフォームで利用できる補助金・助成金制度

現時点での断熱リフォームで使える国の補助金・助成金制度をまとめました。なお、「長期優良住宅化リフォーム推進事業」については、2025年度の実施は決まっていますが、詳細は今後発表される予定です。

国による断熱リフォームで利用できる補助金・助成金制度一覧
制度の名称 対象となる断熱リフォームの工事箇所 補助金額の上限 申し込み期間
先進的窓リノベ2025事業 窓・ドア 200万円/一戸 予算上限に達するまで(遅くとも2025年12月31日まで)
子育てグリーン住宅支援事業 窓・ドア、壁、床、天井 ・必須工事3つのうち、すべてを行う場合は最大60万円/一戸
・必須工事3つのうち、いずれか2つを行う場合は最大40万円/一戸
予算上限に達するまで(遅くとも2025年12月31日まで)
既存住宅の断熱リフォーム支援事業 窓・ドア、壁、床、天井 ・戸建住宅120万円/一戸(玄関ドア5万円を含む)
・集合住宅15万円/一戸(玄関ドアも改修する場合は上限20万円/一戸)
※どちらも補助対象経費の1/3以内
2025年3月24日〜6月13日 ※以降も予定あり
長期優良住宅化リフォーム推進事業 未定 未定 未定

先進的窓リノベ2025事業

2023年度から行われている「先進的窓リノベ事業」の2025年度版です。

窓・サッシリフォームの費用相場ともらえる補助金。断熱窓で、冬暖かく、夏涼しく

先進的窓リノベ2025事業」とは

先進的窓リノベ2025事業は、環境省が実施している、開口部(窓・ドア)の断熱性能を向上させて、住宅の省エネ化を図る事業です。

ほかの部位のリフォーム工事をしなくても、同事業が定めた基準をクリアする断熱性能の高い窓やガラスへの交換、内窓の設置、玄関ドアへの交換リフォームに対して補助金が交付される点が大きな特徴です。

内窓の設置

窓を替えたり、内窓を備えるだけでも家の断熱性能を高めることができます(イラスト/いらすとや)

「先進的窓リノベ2025事業」の対象者と建物の種類

住宅の所有者がリフォーム事業者と契約して行う、断熱窓や断熱ドアへのリフォーム工事が対象となります。 対象となる住宅は居住用に限られ、店舗や施設などは対象外です。また、対象住宅の所有者には、管理組合や管理組合法人、賃貸住宅のオーナーやオーナー法人、賃借人も含まれますので、集合住宅や賃貸住宅も補助を受けることができます。

「先進的窓リノベ2025事業」の対象となる工事内容

既存の窓に対する、2024年11月22日以降に着手した下記の工事が対象となります。また交付の申請は、合計補助額が5万円以上の工事が対象です。

●ガラス交換
既存の外窓(屋外に面している窓)のサッシをそのまま利用し、ガラスのみ複層ガラスなどに交換するリフォーム工事です。

●内窓設置
既存の外窓(屋外に面している窓)の内側に、新たに窓を設置するリフォーム工事です。

●外窓交換
既存の外窓(屋外に面している窓)を新しい窓に交換するリフォーム工事です。外窓を取り外し、既存の窓枠の上から新たな窓枠を覆いかぶせて取り付ける「カバー工法」と、既存の外窓を窓枠ごと取り外し、新たな窓枠と窓を取り付ける「はつり工法」があります。

●ドア交換
玄関ドアなど、屋外に面しているドアを交換するリフォーム工事です。既存のドアの枠を残して本体を取り除き、既存の枠の上から新たな枠とドアを取り付ける「カバー工法」と、既存のドアを枠ごと取り外して、新たな枠とドアを取り付ける「はつり工法」があります。

なお、新たに採用する窓やガラス、ドアは、同事業の性能要件を満たすことが確認された製品に限られます。

「先進的窓リノベ2025事業」の補助額

工事内容により補助額が異なります。なお、戸建住宅・低層集合住宅(3階建て以下)と、中高層集合住宅(4階建て以上)では「外窓交換」と「ドア交換」の補助額が異なるので、注意してください。

また窓やドアの断熱性能は、SS/S/Aの3種類に区分されています。断熱性能の高い順(および補助額の高い順)にSS>S>Aです。

戸建住宅・低層集合住宅(3階建て以下)の場合の補助額

一戸建てと低層マンション

(画像/PIXTA)
●ガラス交換
断熱性能の区分 大きさ別の補助額
P(SS) 大/5万5000円
中/3万4000円
小/1万1000円
S 大/3万6000円
中/2万4000円
小/7000円
A 大/3万円
中/1万9000円
小/5000円
●内窓設置
断熱性能の区分 大きさ別の補助額
P(SS) 大/10万6000円
中/7万2000円
小/4万6000円
S 大/6万5000円
中/4万4000円
小/2万8000円
A 大/2万6000円
中/1万8000円
小/1万2000円
●外窓交換(カバー工法)
断熱性能の区分 大きさ別の補助額
P(SS) 大/22万円
中/16万3000円
小/10万9000円
S 大/14万9000円
中/11万円
小/7万4000円
A 大/11万7000円
中/8万7000円
小/5万8000円
●外窓交換(はつり工法)
断熱性能の区分 大きさ別の補助額
P(SS) 大/18万3000円
中/13万6000円
小/9万1000円
S 大/11万8000円
中/8万7000円
小/5万9000円
A 大/9万2000円
中/6万9000円
小/4万6000円
●ドア交換(カバー工法)
断熱性能の区分 大きさ別の補助額
P(SS) 大/22万円
中/16万3000円
小/10万9000円
S 大/14万9000円
中/11万円
小/7万4000円
A 大/11万7000円
中/8万7000円
小/5万8000円
●ドア交換(はつり工法)
断熱性能の区分 大きさ別の補助額
P(SS) 大/18万3000円
中/13万6000円
小/9万1000円
S 大/11万8000円
中/8万7000円
小/5万9000円
A 大/9万2000円
中/6万9000円
小/4万6000円

中高層集合住宅(4階建て以上)の場合の補助額

4階建て以上のマンション

(画像/PIXTA)

「ガラスの交換」「内窓の設置」は上記の「戸建住宅・低層集合住宅(3階建て以下)の場合」と同額です。「外窓の交換」と「ドアの交換」は「戸建住宅・低層集合住宅(3階建以下)の場合」とは異なります。

●ガラス交換
断熱性能の区分 大きさ別の補助額
P(SS) 大/5万5000円
中/3万4000円
小/1万1000円
S 大/3万6000円
中/2万4000円
小/7000円
A 大/3万円
中/1万9000円
小/5000円
●内窓設置
断熱性能の区分 大きさ別の補助額
P(SS) 大/10万6000円
中/7万2000円
小/4万6000円
S 大/6万5000円
中/4万4000円
小/2万8000円
A 大/2万6000円
中/1万8000円
小/1万2000円
●外窓交換(カバー工法、はつり工法とも同じ)
断熱性能の区分 大きさ別の補助額
P(SS) 大/26万6000円
中/18万1000円
小/11万2000円
S 大/18万円
中/12万2000円
小/7万5000円
A 大/14万8000円
中/10万1000円
小/6万2000円
●ドア交換(カバー工法、はつり工法とも同じ)
断熱性能の区分 大きさ別の補助額
P(SS) 大/26万6000円
中/18万1000円
小/11万2000円
S 大/18万円
中/12万2000円
小/7万5000円
A 大/14万8000円
中/10万1000円
小/6万2000円

「先進的窓リノベ2025事業」の申請期限

申請の期限は「予算上限に達するまで(遅くとも2025年12月31日まで)」です。

窓の断熱リフォーム工事は手軽

半日もあれば内窓を設置できるなど、窓の断熱性を高める工事は工期が短く、ほかと比べて手軽に行える断熱リフォームです(画像/PIXTA)

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子育てグリーン住宅支援事業

子育てグリーン住宅支援事業は、2024年度まで行われていた「子育てエコホーム事業」に代わり、2025年度から始まった事業です。

その名称から、子育て世帯以外は関係がないように思うかも知れませんが、一定の省エネ水準をクリアするリフォームの場合は、全世帯が対象です。

子育てグリーン住宅支援事業」とは

子育てグリーン住宅支援事業は、国土交通省と環境省が連携して実施している事業です。エネルギー価格をはじめとした物価高騰の影響を受けやすい子育て世帯・若者夫婦世帯の、省エネ性能の高い住宅の取得や、住宅の省エネ改修に対して支援することを目的としています。

一定の省エネ水準以上の住宅を「新築」する場合は、「子育て世帯」や「若者世帯」に限定されています。

ただし、対象となるリフォームの場合は、「子育て世帯」や「若者世帯」という世帯制限はなく、全世帯が対象となります。

子育て対応改修も補助金の対象

断熱リフォーム以外にも、子育て対応改修やバリアフリー化も補助金の対象となります(イラスト/いらすとや)

「子育てグリーン住宅支援事業」の対象者、建物の種類

リフォームの場合は、住宅の所有者がリフォーム事業者と契約して行う、対象のリフォーム工事に対して補助金が交付されます。

対象となる住宅は居住用に限られ、店舗や施設などは対象外です。また、対象住宅の所有者には、管理組合や管理組合法人、賃貸住宅のオーナーやオーナー法人、賃借人も含まれますので、集合住宅や賃貸住宅も補助を受けることができます。

「子育てグリーン住宅支援事業」の対象となる工事内容

補助の対象は、下記の3つの「必須工事」のうち、2つ以上の工事を実施した場合になります。

2つ以上の必須工事を行えば、同時に行った任意工事(下記の4〜7)も補助の対象になります。必須工事と任意工事を合わせた補助額の合計が5万円以上で補助対象になります。

なお、2024年11月22日以降に着手した下記の工事が対象となります。

●【必須工事】
1:開口部の断熱改修
2:躯体の断熱改修
3:エコ住宅設備の設置

●【任意工事】
※上記1〜3の2つ以上の工事と同時に行う場合のみ補助の対象になります。
4:子育て対応改修
5:防犯性向上改修
6:バリアフリー改修
7:空気清浄機能・換気機能機能付きエアコンの設置
8:リフォーム瑕疵保険などへの加入

なお、「先進的窓リノベ2025事業」と重複した工事箇所を申請することはできませんが、同事業の交付決定を受けている工事箇所は、必須工事の「1:開口部の断熱改修」を行ったものとして取り扱われます。

つまり、「子育てグリーン住宅支援事業」の必須工事のひとつである「1:開口部の断熱改修」を行うために、わざわざ「先進的窓リノベ2025事業」と工事箇所を分けて申請する必要はない、ということです。

同様に、「子育てグリーン住宅支援事業」で申請しなくても「給湯省エネ2025事業」や「賃貸集合給湯省エネ2025事業」で交付決定を受けている場合は、「3:エコ住宅設備の設置」を行ったものとして取り扱われます。

「子育てグリーン住宅支援事業」の補助額

必須工事と任意工事、合わせて8つの工事は、それぞれ工事内容により補助額が異なります。ここでは、断熱リフォームに関係する工事の補助金について解説します。

なお、新たに採用する窓やガラス、ドア、断熱材は、同事業の性能要件を満たすことが確認された製品に限られます。

●【必須工事】開口部の断熱改修
下記の工事が対象となります。
工事内容 大きさ別の補助額
ガラス交換 大/1万4000円
中/1万円
小/4000円
内窓設置 大/1万7000円
中/1万3500円
小/1万1000円
外窓交換 大/3万4000円
中/2万7000円
小/2万2000円
ドア交換 大/4万9000円
小/4万3000円
●【必須工事】躯体の断熱改修
壁や屋根、天井、床の部位ごとに、一定の使用量の断熱材(ZEHレベル)を利用する断熱改修が対象となります。また補助額は施工した部位ごとに異なります。
施工部位 補助額
外壁・間仕切壁 16万9000円
部分断熱の場合は8万4000円
屋根・天井 6万円
部分断熱の場合は3万円
10万5000円
部分断熱の場合は5万2000円

「子育てグリーン住宅支援事業」の申請期限

申請の期限は「予算上限に達するまで(遅くとも2025年12月31日まで)」です。

ビルトイン食洗機も補助金の対象

同事業の任意工事の1つ、「子育て対応改修」とは、子育ての時間を増やせるように家事を楽にしてくれる住宅設備の導入も含まれます。具体的にはビルトイン食洗機や、掃除しやすいレンジフード、浴室乾燥機などの設置が補助金の対象となります(画像/PIXTA)

既存住宅の断熱リフォーム支援事業

既存住宅の断熱リフォーム支援事業とは、住宅全体の断熱、またはリビングを中心とした一部分の断熱を支援してくれる事業です。

既存住宅の断熱リフォーム支援事業」とは

既存住宅の断熱リフォーム支援事業は環境省の事業で、執行団体は公益社団法人北海道環境財団です。断熱性能の高い断熱材や高断熱窓などの建材を用いた断熱リフォームに対し、補助金を交付してくれます。

住宅全体の断熱リフォームに対して支援してくれる「トータル断熱」に加えて、居間(リビング)をメインに断熱する「居間だけ断熱」も支援してくれるのが特徴の1つです。

住宅の断熱性能向上

住宅全体、または普段過ごすことの多い居間(リビング)などの断熱性能を高めたい時に活用したい支援事業です(イラスト/いらすとや)

「既存住宅の断熱リフォーム支援事業」の対象者、建物の種類

対象となる建物の種類は戸建住宅・集合住宅です。

申請者は住宅の所有者、集合住宅の区分所有者と管理組合などの代表者、さらに賃貸住宅の所有者(個人・法人どちらでも可)、買取再販事業者になります。

また住宅の所有者には所有予定者や、対象の住宅に住民票を置く居住者を含みます。

「既存住宅の断熱リフォーム支援事業」の対象となる工事内容

対象工事は、本事業の性能要件を満たすことが確認された製品を用いた断熱リフォームです。対象となる改修部位は「トータル断熱」と「居間だけ断熱」で異なります。

●「トータル断熱」の改修部位
「天井・外壁・床・窓/ガラス」という4つの部位の組み合わせによって、地域区分ごとに最低改修率(延床面積に対する補助対象の床面積の合計)が決められていて、それを満たす必要があります。

また、居間または主なる居室(就寝を除き日常生活上在室時間が長い居室など)を中心に改修することが求められます。

●「居間だけ断熱」の改修部位
居間の窓すべてを改修する必要があります。窓の改修は外窓(屋外に接している窓)の交換か、内窓の設置を指し、ガラスの交換は対象外です。居間の窓すべてを改修すれば、ほかの部屋の窓や玄関ドアの改修も補助の対象になります。

また、上記の断熱リフォーム以外にも、同時に下記の設備を導入すると、それぞれ補助金が交付されます。

●補助金の対象となる設備
補助対象の設備 対象となる設備内容や建物の条件
LED照明(共用部) 集合住宅(全体)の断熱改修が対象。廊下・階段など共用部の既存の照明が、LED照明以外だった場合に限る。
蓄電システム 太陽光発電などの再生可能エネルギーシステムを既に設置している戸建住宅が、再生可能エネルギーシステムで発電した電力を蓄える蓄電システムを導入する場合。
蓄熱システム 太陽光発電などの再生可能エネルギーシステムを既に設置している戸建住宅が、エコキュートなどの電気ヒートポンプ式給湯機を使い、発電した電気を蓄熱(沸き上げ)として活用する場合。
熱交換型換気設備など 戸建住宅と集合住宅(区分所有者)が、熱交換型換気設備(室温をほぼ一定に保つ換気設備)を導入する場合。同時にエアコンなどの空調設備を交換する場合は空調設備も対象となります。
EV充電設備 太陽光発電などの再生可能エネルギーシステムを既に設置している戸建住宅が、EV(電気自動車など)充電設備を導入した場合。

「既存住宅の断熱リフォーム支援事業」の補助額

「トータル断熱」「居間だけ断熱」どちらも、補助率は補助対象経費の3分の1以内です。ただし、下記のように上限があるので注意してください。補助対象経費とは、補助対象となるリフォーム工事に必要な建築材料の購入経費や工事に必要な経費を指します。

また、補助金額は以下のAとBを比較して、いずれか低い金額に補助率を乗じて算出されます。
A)基準単価を用いて算出した補助対象経費
B)見積書による補助対象製品の購入費などの補助対象経費

補助金の上限は「トータル断熱」「居間だけ断熱」どちらも同じです。ただし、戸建住宅と集合住宅で補助金の上限が異なります。

●補助金の上限
補助対象の製品 補助金の上限
戸建住宅のガラス・窓・断熱材・玄関ドア 120万円/戸(玄関ドア5万円を含む)
集合住宅のガラス・窓・断熱材・玄関ドア 15万円/戸(玄関ドアも改修する場合は20万円/戸)
LED照明(共用部) 1カ所あたり8000円
蓄電システム 20万円
蓄熱設備 20万円
熱交換型換気設備など 5万円
EV充電設備 5万円

「既存住宅の断熱リフォーム支援事業」の申請期限

通期で申請を受け付けるのではなく、公募期間中のみなので、公式ホームページで公募情報を確認する必要があります。公募の頻度は年4回程度で、2024年の場合は1月〜、3月〜、6月〜、9月〜に実施されました。

ただし、公募期間中であっても予算額に達した時点で公募は終了となります。

断熱材を使った断熱リフォーム

窓だけでなく、断熱材も使って住宅の断熱性能を高めるリフォームが補助金の対象となります(画像/PIXTA)

長期優良住宅化リフォーム推進事業

長期優良住宅化リフォーム推進事業は、既存住宅の性能向上や子育てしやすい環境の整備を目的とした国の補助事業です。

2025年4月17日時点で2025年(令和7年)度の詳細が未定のため、ここでは2024年(令和6年)度の内容を紹介しますので参考にしてください。

長期優良住宅化リフォーム推進事業」とは

長期優良住宅化リフォーム推進事業とは、国土交通省の事業です。既存住宅の長寿命化や省エネ化になる性能向上リフォームや、子育て世帯向けのリフォームなどを支援してくれます。

長期優良住宅化リフォーム推進事業

耐震性や耐久性、省エネルギー性などを高めることで、住宅の長寿命化を図るリフォームが補助金の対象となります(イラスト/いらすとや)

「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の対象者、建物の種類

補助金の対象となるのは、一定の条件を満たす改修工事を行った既存の一戸建てと、マンションなどの共同住宅でした。補助の対象者は該当する工事を発注した、住宅の所有者や管理組合、買取再販事業者でした。

「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の補助対象だった工事内容

下記の工事や費用が補助対象でした。断熱リフォームは「性能向上リフォーム工事」に含まれる「省エネルギー対策」に当たり、断熱材の設置や全開口部(窓やドア)の断熱化などが対象でした。

  • 特定性能向上リフォーム工事
  • そのほかの性能向上リフォーム工事
  • 三世代同居対応改修工事費
  • 子育て世帯向け改修工事
  • 防災性の向上・レジリエンス性の向上改修工事
  • インスペクションなどにかかる費用

「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の補助額

補助金額は、上記補助対象の工事や費用の合計額の3分の1。また補助金の上限額は、リフォーム後の住宅性能により、下表のようになっていました。

リフォーム後の住宅性能 2024年(令和6年)度の補助上限額
長期優良住宅(増改築)認定を取得していないが、一定の性能向上が認められる場合 80万円/戸(130万円/戸)
長期優良住宅(増改築)認定を取得した場合 160万円/戸(210万円/戸)
※カッコ内の補助上限額は、三世代同居対応改修工事を実施する場合、若者・子育て世帯または既存住宅の購入者が改修工事を実施する場合

長期優良住宅化リフォーム推進事業で住宅性能を高める

長期優良住宅化リフォーム推進事業は断熱性能だけでなく、耐震性能や劣化対策など、長期間にわたって高い性能を維持する住宅にリフォームしたい場合に活用したい補助金制度です(画像/PIXTA)

地方自治体の補助金・助成金制度

国以外にも断熱リフォームに対して補助金制度を用意している地方自治体があります。上記で紹介した国の補助金制度は、同じ工事での併用はできませんが、自治体の補助金・助成金制度は、国の補助金制度と併用できる場合があるので、うまく活用しましょう。

どんな補助金・助成金制度があるかは、住んでいる都道府県や市区町村のホームページなどで確認してください。

ここでは東京都の例を紹介します。

東京都の「既存住宅における断熱改修促進事業

東京都の「既存住宅における断熱改修促進事業」では、「高断熱窓・高断熱ドアへの改修」「外壁・床などへの断熱材の設置」「高断熱浴槽への改修」に対して、助成金を交付しています。国の補助金制度と併用できます。

2025年(令和7年)度の補助額は下記のとおりです。

【2025年度版】既存住宅における断熱改修促進事業の助成額
改修工事の内容 助成額と上限額
高断熱窓・高断熱ドアへの改修

サイズ・性能に応じて定められた助成額(窓やドア1枚あたり価格の3分の1相当額を助成、上限額は130万円/戸)
※集合住宅の管理組合による全体改修の場合、上限額は156万円/戸。ただし50戸以上改修する場合に限る
※断熱防犯窓に改修する場合、ほかの窓よりも2.5倍の額を助成、上限額は325万円/戸

外壁・床などへの断熱材の設置 リフォーム費用の3分の1(上限額は100万円/戸)
高断熱浴槽への改修 リフォーム費用の3分の1(上限額は9万5000円/戸)

助成金の申請はリフォーム工事の着工前の事前申請が必要です。申請の受付は2025年6月末頃から実施される予定です。

詳細は2025年5月中旬頃に公式ホームページで公表されます。

地方自治体の補助金・助成金制度も確認

地方自治体の補助金・助成金制度は国の制度との併用できる場合が多いので、住んでいる都道県や市区町村のホームページを確認してみましょう(画像/PIXTA)

補助金の申請は誰が行う?

国の補助金制度は、事業によって下記のように申請者が異なるので注意が必要です。

申請はリフォーム会社が行う事業と、住宅所有者などが行う事業がある

国の補助金制度における申請は、「既存住宅の断熱リフォーム支援事業」以外は、事業者登録を受けたリフォーム会社などが行います。一方「既存住宅の断熱リフォーム支援事業」は断熱リフォーム工事を行う住宅の所有者が行います。

そのため「既存住宅の断熱リフォーム支援事業」を利用したい場合は、書類の作成などを助けてくれるような、この事業の利用に慣れているリフォーム会社に依頼するとスムーズです。

補助金の受け取り方

「先進的窓リノベ2025事業」「子育てグリーン住宅支援事業」「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は、事業者登録を受けたリフォーム会社など工事請負業者に交付され、補助金対象者に下記のいずれかの方法で還元されます。

1:契約代金に充当(補助金額を差し引いた工事金額で契約)
2:工事請負業者が現金で対象者に支払う

一方「既存住宅の断熱リフォーム支援事業」は下記のような流れになります。

  • 必要書類を提出して交付決定通知を受ける
  • 該当する工事の契約・着工
  • 工事が完了したら、再び必要書類を提出
  • 本事業の担当者による審査や現地調査
  • 「交付額確定通知書」が発行される
  • 「精算払請求書」を提出
  • 補助金の入金

国の補助金制度は併用できないので注意

国による断熱リフォームの補助金制度は、同じ工事内容を重複してほかの国の補助金制度を利用すること、つまり併用はできません。そのため、どんな断熱リフォームをしたいのか、というリフォームの目的に合わせて、賢く補助金制度を活用しましょう。

目的にあった補助金制度を選ぶようにしましょう

「先進的窓リノベ2025事業」「子育てグリーン住宅支援事業」「既存住宅の断熱リフォーム支援事業」「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は、どんなリフォームをしたい人に向いているのか、下記にまとめましたので、選ぶ際の参考にしてください。

4つの補助金制度に向いているリフォーム内容
断熱リフォームの補助金制度 向いているリフォーム
先進的窓リノベ2025事業 窓の交換や内窓の設置など、窓だけリフォームして、手軽に断熱性能を高めたい場合。
子育てグリーン住宅支援事業 断熱と同時に、子育てのための改修やバリアフリーリフォームなども行いたい場合。
既存住宅の断熱リフォーム支援事業 住宅全体の断熱、またはリビングの断熱性能を高めたい場合。合わせて蓄電池などの導入も検討している場合。
長期優良住宅化リフォーム推進事業 断熱性能だけでなく、耐震性や防災性など全体的に住宅性能を高めたい場合。

まとめ

2022年に 「建築物省エネ法」が改正されたのを皮切りに、国は積極的に住宅の断熱性能の向上を目指しています。そのため、今回紹介したように断熱リフォームに対する補助金制度がいくつもあるのです。

つまり、今は自宅の断熱リフォームを行う絶好機なのですが、1つ注意したいのは、リフォーム会社選びです。

補助金制度が国だけで複数あり、加えて東京都の例のように、国の補助金制度と併用が可能な地方自治体の補助金制度もあります。これらの申請方法や、補助金対象の要件に合う工事内容や製品選びなど、リフォーム会社には補助金制度をよく理解している必要があります。

せっかくメリットのある補助金制度も、使いこなせなかったら意味がありません。断熱リフォームを行う場合は、見積書の金額だけでなく、そのリフォーム会社が補助金制度に対応しているかも見て依頼するかどうか判断するようにしましょう。

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取材・構成・文/籠島康弘

雑誌「カーセンサー」編集部を経てフリーライターに。中古車からカーシェアリング、電気自動車までクルマにまつわる諸々の記事執筆を手がける。最近は住宅雑誌の記事も執筆していて、自分が何屋なのかますます分からなくなってきた。